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目指すのは「負けても続けたくなる」世界観。Web3ゲーム事業の牽引役が語る、Mint Townで実現したい未来とは

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目指すのは「負けても続けたくなる」世界観。Web3ゲーム事業の牽引役が語る、Mint Townで実現したい未来とは

Thirdverse(現在はMint Town)は「Web3ゲーム」×「Play to Earn」の市場拡大を視野に、2023年1月12日、サッカー漫画として名高い『キャプテン翼』のIPを活用した新感覚Web3ゲーム『キャプテン翼 -RIVALS-』のサービスを開始しました。

この作品の誕生に寄与し、今後の成長を支えるのが取締役CTO(2023年5月就任)である山田憲晋です。

今回は、新しいジャンルでのゲーム開発・運営に興味を持っている方に向けて、2023年1月よりMint Townに参画した山田が、Web3ゲーム開発の面白みを語ります。

取締役CTO 山田憲晋(やまだ・けんしん)
1995年、NECに入社しネットワーク関連の研究開発に従事。2008年、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)に入社。モバゲータウンやソーシャルゲーム『怪盗ロワイヤル』の開発に携わり、2010年分析組織を立ち上げる。2022年4月より、データ本部・本部長(GEX:グループエグゼクティブ)として、DeNA内のAI活用、分析業務全般を統括。2023年1月より株式会社Thirdverse(現在はMint Town)へ参画。

Web3ゲームの世界に誘った『Axie Infinity』の存在

──憲晋さんがWeb3ゲーム興味を持ったきっかけを教えてください。

2021年8月に、同僚から「ゲームをして稼ぐことのできる『Axie Infinity』というゲームが盛り上がっているよ」と言われて、興味を持ったのがきっかけです。

Axie Infinity』公式ページより

『Axie Infinity』は、3体のAxieと呼ばれるキャラクタでパーティを組みバトルをする対戦カードゲームなのですが、1体のAxieが5万円以上したので、結構な初期投資が必要でした。

自分は元々、競馬もパチンコもしないし、モバイルゲームも気に入ったゲームに対して数千円程度しか課金しない、どちらかというと課金行動に慎重なユーザーです。しかしこの時だけはゲームの新しい可能性に魅せられ、やりたい気持ちが止められず、妻に頼み込んで20万円を元手に『Axie Infinity』を始めました。

ゲーム開始当初は、プレイするごとに毎日数千円分の暗号資産が獲得できる新しい体験に興奮しました。ただ、ゲーム自体はすぐに飽きてしまったのですよね。最初に選んだ自分のAxieがそこまで強くなかったこともあり、プレイ戦略を検討する余地が小さく、かといって強いAxieを買う資金もない。

とはいえ、すぐにやめるわけにもいかず、毎日、PvEとPvPを決まった回数こなす作業が続きました。途中からMarket Placeに出ている安いAxieを買って、高く売る転売をするようになり、少しずつ資産を増やしていきました。そしてAxieの研究をする中で、もっとも効率的に稼ぐ手段はブリーディングであるという結論に達したのです。

ブリーディングとは、2体のAxieを交配させて、新しいAxieを生み出す仕組みなのですが、Axieの種類によって取り引きされる価格が10倍、時には100倍も違います。2体のAxieから何が生まれるかは複雑な遺伝子計算が必要なのですが、親となるAxieの販売価格、5日後に生まれてくるAxieの販売予想価格なども含めて収支の期待値計算して、ブリーディングをひたすら実行していました。自分が本格的にブリーディングを始めたのは2021年10月頃のこと。Axieブームも陰りを見せ始めていたのですが、2022年2月ぐらいまでは安定的な収益を得られていました。

しかしながら、「ユーザー全員が稼げる状態」をキープし続けることはできません。Play to Earnの大ブームを巻き起こした『Axie Infinity』ですが、2022年2月にPvEでのDaily報酬稼ぎを廃止。安定的な稼ぎが無くなった結果、多くのユーザが離脱してしまいました。Axieの購入需要もなくなってしまいブリーディングで収益をあげることが難しくなり、自分も『Axie Infity』を引退しました。

『STEPN』ブームとWeb3ゲームバブルの崩壊

──Axie Infity』以外で没頭したWeb3ゲームありますか?

『Axie Infinity』の他には、2022年2月に出会った『STEPN』が挙げられます。当時、リモートワークで家に引きこもっている生活が続いて、健康に大きな不安を感じていました。運動するきっかけになるという点でもすごくポジティブな印象を持ちました。

App Store」 より

 『STEPN』を始めてみて、すぐに、今までのWeb3ゲームと全然違うアプリの完成度に驚愕しました。シンプルで分かりやすいユーザインタフェースと、歩いたら結構な額の暗号資産が稼げる体験に興奮したのです。

始めた2週間後には『Axie Infinity』で稼いだ額から300万円ほどを投資し、靴の数を急速に増やしていきました。

その後『STEPN』は、日本のテレビでも取り上げられるほどの一大ブームを巻き起こします。自分も毎日100分欠かさず歩き続けて、稼げたのはもちろん、運動不足解消にも効果があったと思います。

ただ、夢のような日々は永遠には続きませんでした。

──何があったのですか?

2022年のゴールデンウィーク後に暗号資産市場全体の大暴落があったのですが、それに合わせて『STEPN』のトークン価格が大暴落したのです。『STEPN』運営側がマルチチェーン展開やその他様々な施策をうったものの、再び上昇トレンドになることはありませんでした。

誰でも稼げるというのは幻想に過ぎず、いつかは終わりが来ることはわかっていたのですが、急に来たなというのが正直な感想です。

今回の暗号資産の大暴落で、投資初心者の自分はWeb3ゲームで稼いだ額のほとんどを失いました。

──Web3ゲーム稼ぎ続けるというのは難しいのでしょうか?

はい。Web3ゲームがポンジスキームであるというのはよく言われる批判です。

ゲームで稼ぐユーザーのための資金を、新規参入ユーザーの投資から賄う構造になっているため、新規ユーザーの参加がなくなると、経済圏を維持することができなくなります。また、一度、経済圏が減衰局面に入ると既存ユーザも一気に逃げ出すので、相乗効果で経済圏崩壊が起きるのです。

さらに悪いことに、『STEPN』が崩壊したことで、多くのWeb3ゲームユーザーが投資に消極的になっています。加えて、参画してもいつでも辞められるような慎重な早逃げの投資行動となっているので、Web3ゲームを長期維持することの難易度が格段に上がっています。

永続的なトークノミクスへの挑戦

──憲晋さんの経験談からWeb3ゲーム難しさがよくわかりました。それでは、Web3ゲームは成立し得ないものなのでしょうか?

自分はそう思っていないです。確かに『Axie Infinity』や『STEPN』のようにユーザー全員に稼げる体験を提供し続けるというのは完全な幻想ではあるので、そのような間違ったゲーム設計をすると経済圏がいずれは崩壊します。

目指したいのは「ゲームを上手く攻略した人が稼げる」ゲームです。逆にいうと、下手な人は稼ぎ続けることは難しいということになります。ただ、負けて稼げなかった人も「頑張れば次は稼げそうな気がする」「悔しいから頑張る」という気持ちを駆り立てるのが目指したい世界観になります。

『Axie Infinity』や『STEPN』は永続的なトークノミクスの維持には失敗しました。しかし、これらのゲームに熱中して、稼ぐために試行錯誤をした日々は、自分にとって本当に貴重な体験になったと考えます。

そこから、自分の手で「遊びと稼ぎが融合したWeb3ゲーム」という新しい体験を世の中に広げていきたい、と思うようになったのです。

Mint TownのWeb3ゲーム事業

──Web3ゲーム作るためにMint Townに参画したのですよね?

はい。Web3ゲーム開発をする上で、Mint Townは最高の環境であると判断して参画することにしました。

『Axie Inifinity』のブームにより、Web3ゲーム事業への参入を検討している企業も多いと思います。一方で、これから立ち上がる新しい市場となるため、法規制含めて様々な未解決事項を検討しながら進める必要があります。そのため多くの企業では、すぐに判断ができないケースも多いでしょう。

そのような状況下でMint Townは、すでに5本以上のタイトルの開発が進んでいて、迅速な意思決定のもとスピード感を持ってプロジェクトが進行しています。

経済圏を長期維持するWeb3ゲームの成功モデルはいまだ存在しない中、多くの試行錯誤が必要となります。Mint Townなら多数のタイトルで様々なチャレンジができると思い、参画を決意しました。

──Mint TownのWeb3ゲーム開発にはどのような特徴がありますか?

半年くらいでのゲームリリースを目標に、少人数・短期間で開発を進めています。

ゲームは、モバイルブラウザー上で配信予定(PCブラウザーにも対応)であり、そこは、大きな技術チャレンジになりますね。

利用するクライアント技術としては、React.js, Cocos Creator, Unityなどが考えられます。3Dをグリグリ動かして、インゲームのゲーム演出にこだわるというよりも、アウトゲーム中心の戦略的なゲームが多くなる想定で、React.jsが有効な選択肢となります。

またMint Townでは複数タイトルを同時開発で進めているのですが、その開発の効率化のために「Web3ゲーム共通基盤」を作っています。トークンの送受信処理、会計、分析等を共通機能として活用できるので、ゲームエンジニアはゲーム開発のみに集中できるという利点があるわけです。

逆に、この「Web3ゲーム共通基盤」に携わるエンジニアは、トークン管理を始めとしたブロックチェーン技術に関する実務経験を積むことができます。

──他に注力していることはありますか?

トークノミクスの設計、分析、パラメータチューニングにも力を入れていきます。トークノミクスが崩壊すると、そこでゲームが終わりになるため、Web3ゲームではトークノミクス設計が最も重要といっても過言ではありません。

ゲームの最初の構想段階でまずは、トークノミクスが維持可能なゲームシステムを設計していきます。ユーザ行動パターンの仮設をおいてシミュレーションなどを実施しながら、具体的なゲームのパラメータに落とし込みます。

ただ、ユーザーの行動パターンを完全にシミュレーションすることは現実的ではない。そのため実運用において、トークノミクスの状態を正しく分析できる分析環境と、想定外の状況においても制御可能な調整弁を持つようなパラメータ設計をしておくことが重要になります。

トークノミクスをゲームのメカニクス設計と融合して成立させるのは非常に難しい部分ですが、大きなチャレンジとなります。

Web3ゲーム開発はまるで、壮大な経済圏作りの実験のよう

──ここまで色々とお話を伺いましたが、改めて、憲晋さんが考える「Web3ゲーム開発の面白み」を教えてください。

Web3ゲーム開発は、「稼ぎ」と「遊び」が融合した今までにないゲームを作っていく感覚で、全く新しい挑戦ですね。

自分は、ソーシャルゲームの立ち上がりの時期に、『怪盗ロワイヤル』チームのエンジニアリングマネージャーをしていたのですが、今までとは異なる体験のゲームが生まれてくる感覚は当時と近いものを感じています。

現在のアプリゲーム開発は大規模開発化が進んでいて、自分自身がゲームを作っている感覚が薄くなっている人もいるかもしれませんが、まさしく、自分で一からゲームを生み出す経験ができると思います。

──ありがとうございます。最後にMint Townへの入社を検討されている方へメッセージをお願いします。

Web3ゲームに強い思いや期待感を持っている人が来てくださると嬉しいです。特にトークノミクスにこだわりを持っている人とは、熱く語り合いたいですね。Web3ゲーム開発は、自身の考えたトークノミクスデザインが、実際のゲームで成り立つかどうか、壮大な経済圏作りの実験をしているようなもので、楽しさは保証します。

エンジニアの場合、モバイルゲームやコンソールゲームの開発からシフトしてくる方も多いです。1から自分で考え、形にしたい方、裁量権を持って携わりたい方にはぴったりですね。

何より短期間で新しいゲームを作っていくことになるので、自身のゲームを世に出している強い実感を味わえることが、最大の魅力です。活躍の場はいくつもご用意していますので、まずはカジュアル面談で気軽に意見交換をしましょう。お待ちしています。

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