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新領域の挑戦は何歳になっても楽しい - Web1、2街道激走からの、3での再発進 -

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新領域の挑戦は何歳になっても楽しい - Web1、2街道激走からの、3での再発進 -

Mint Townを牽引するのは、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)出身の守安と山田。Web2.0市場を急成長させた経験を活かし、Web3で新たな市場を生み出す挑戦を続けています。

2023年1月には、日本のIPを活用した新感覚Web3ゲーム『キャプテン翼 -RIVALS-』をリリースしました。「Web2.0とは異なり、Web3にはまだ解がない」と話す二人が、Web3ゲーム市場に “今” 挑むことの魅力・面白さを対談形式でお届けします。

写真右:取締役COO 守安功(もりやす・いさお)
1998年、東京大学大学院(工学系研究科航空宇宙工学)修了、同年4月、日本オラクル株式会社入社。1999年11月、システムエンジニアとして株式会社ディー・エヌ・エーに入社。2004年に携帯オークションサイト「モバオク」、アフィリエイトネットワーク「ポケットアフィリエイト」、2006年2月には、「モバゲータウン(現:Mobage)」を立ち上げ、同年6月、取締役に就任。2009年4月、取締役兼COO就任。2010年4月、取締役兼ソーシャルメディア事業本部長兼COO就任。2011年6月、代表取締役社長兼CEO就任。2021年6月退任。2021年10月、株式会社タイミー取締役COO就任。2022年3月退任。同年6月、株式会社Thirdverseに入社。2023年5月、株式会社Mint Town取締役COOに就任。

写真左:取締役CTO 山田憲晋(やまだ・けんしん)
1995年、NECに入社しネットワーク関連の研究開発に従事。2008年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。モバゲータウンやソーシャルゲーム『怪盗ロワイヤル』の開発に携わり、2010年分析組織を立ち上げる。2022年4月より、データ本部・本部長(GEX:グループエグゼクティブ)として、DeNA内のAI活用、分析業務全般を統括。2023年1月より株式会社Thirdverseへ参画。2023年5月、株式会社Mint Town取締役CTOに就任。

ソーシャルゲーム業界を席巻したDeNA時代の軌跡

──お二人はモバゲータウン(現:Mobage)をDeNA時代に牽引してきました。当時の活動を振り返った時、何が一番のモチベーションだったのでしょうか。まずは守安さんに聞いてみたいと思います。

守安功(以下、守安)

私がDeNAに入社したのは、SNSが登場する以前の1999年。いわゆるWeb1の頃になります。まだ市場もない時代からインターネット産業作りに携わり、Web2.0黎明期の2006年にモバゲータウンを立ち上げました。

インターネットオークションやゲームコミュニティは、これまでになかった体験やユーザーの熱狂を生み出してました。サービスの利用者は増え続け、市場が生まれ、売上という形で数字がどんどん積みあがっていく速度が早かったです。

今まで存在しなかった市場や産業を生み出し、サービスを提供することで事業が成長していくことそのものがエキサイティングでしたね。

──山田さんの場合、何がモチベーションの源泉でしたか?

山田憲晋(以下、山田)
私は守安さんから少し遅れて、Web2.0が注目されていた2008年にDeNAに入社しました。はてなブックマークというソーシャルブックマークサービスが流行っていたのですが、Webのブックマークを共有して議論するという今までにないソーシャル体験にワクワクしていました。

当時のDeNAは、モバゲータウンが大ヒットしていて強いユーザコミュニティを持ったサービスを提供していましたが、自分もユーザ同士のつながりを強化していくような新しいサービス体験を作りたいという思いで入社しました。

──2000年代初頭はまさにWeb2.0が台頭した時期でした。当時を振り返り、何が一番大きな変化だったと感じますか?

守安
Web2.0の象徴であるSNSの誕生が一番の変化だったと思います。ゲーム業界でも、2007年頃に、Facebookが外部企業にアプリ開発をオープンにしたタイミングがありました。ソーシャルゲームという言葉が誕生したのもその頃です。

当時日本で流行していたmixiもオープン化に踏み切った流れもあり、DeNAもその波に乗るべく2009年に大きな意思決定をしました。ゲームの内製化とオープン化です。同年10月にはモバゲーで『怪盗ロワイヤル』という大ヒット作品を生み出すことにも成功しました。

ゲームプラットフォームとしてモバゲーは急成長し、DeNAがガラケー端末のソーシャルゲームで世界を獲れるのではという機運も高まった時期でしたね。

山田
ゲームの中でコミュニケーションをするサービスというのはMMORPG等では古くからあったのですが、『怪盗ロワイヤル』では毎日挨拶代わりに友達にウィンク(ポイントが貯まる挨拶機能)をしていくなど、カジュアルなコミュニケーションを広げていく仕掛けが新しかったです。

そして開発側としては、もう1つ大きな変化がありました。作ったら終わりではなく、「作ってからがスタート」というゲーム運用スタイルです。ユーザーの行動や満足度を分析しながら、ゲームの方向性やイベントなどの施策を都度考えていくわけです。

以前はこうした分析業務は開発チームのプランナーやエンジニアが兼任で担っていましたが、2009年に専門の分析チームを立ち上げ、私もそこから分析関連業務を中心にみていくようになりました。

Web2.0の成功を、Web3にどう置き換えるか?

──現在はWeb3の黎明期といえる時期です。Web2での成功体験はそのまま活かせるのか、それともアンラーニングが必要なのか。守安さん、いかがでしょうか?

守安
結論から述べると敢えてのアンラーニングは必要ないと思っています。

Web2.0の黎明期にDeNAが取った戦略はいわゆる焼き直しでした。PCで流行っているオークションをモバイル向けに作り変える。「モバゲー」もまた、PCの「ハンゲーム」をモデルにしたプラットフォームでした。

ではなぜ、焼き直しにもかかわらずDeNAが成功を収めたのかというと、その背景にユーザーの分離があったからです。2006年頃は、モバイルゲームで遊ぶユーザーはPCを持っておらず、PCを持っている人は回線速度の遅いモバイルでインターネットを使うことはめったにありませんでした。

つまり、PCで普及したインターネットオークションも、モバイルユーザーからは「新しい体験」として映った。すべての人ではなく、特定の人にとって新しいサービス体験であれば爆発的に広がる可能性があったというわけです。

そういう意味では現状、暗号資産に詳しいか、NFTで稼ぐことに強い興味を持っているユーザーが積極的に遊ぶゲームという認識がほとんどだと思います。『キャプテン翼 -RIVALS-』もまた、NFTを購入する初期段階で多くの離脱が見られました。

つまり、暗号資産やNFTに「関心がある層・ない層」が極端に分かれている状況と捉えることができます。この参入障壁が緩和されるタイミングは、まさにWeb3ゲーム市場がブルーオーシャン化する瞬間だと考えています。

Web3黎明期の「今」だから挑戦する意義

──DeNA時代はすでにマーケットが顕在化しているサービスを、セグメントを変えて提供してきたわけですね。そう考えると、今回Web3領域でMinttownが目指す挑戦は少し毛色が異なるように感じます。

山田
Web3ゲームは『Axie Infinity』や『STEPN』が先行して新しいユーザー体験を作り上げましたが、トークンエコノミクスが成立していないという意味で大きな課題が残っています。

どちらのゲームも最終的には経済圏が崩壊してしまいました。稼げすぎると経済圏が崩壊し、稼げないとユーザがプレイしていれないという矛盾の中で、これまでとは違うスパイスを入れて、一ひねりも二ひねりもする必要がある。まだ解が見つからない状況での挑戦は難しさはありますが、同時にやりがいにも繋がっています。

守安
Web3、特にゲームの市場を大きくするためには、経済圏が長く続くモデルが必須です。それも1つのケースにとどまらず、横展開できることが望ましい。現状はそれがまだ発見されていませんが、必ずしも自分たちで作る必要もないと考えます。

重要なことは、成功モデルが出てきた時に追随できるような体力やケイパビリティを企業として身に付けておくこと。そうしなければスピード競争に負けてしまいます。

山田


現時点では成功モデルが確立しておらず、強いプレイヤーもプラットフォームも存在していません。守安さんがいうように、その日に向けて経験値を積み上げることは決して無駄にはなりませんし、それが競争優位性にもなると考えています。

Web2.0の登場時にユーザー分析の必要性が高まったと話しましたが、Web3ではその重要度がこれまで以上に増しています。私がプレーヤーとしてWeb3ゲームを楽しんでいた時は、外部から取れるデータを集めることがせいぜいでしたが、運営の立場になると把握できる情報量が圧倒的に増えます。

Web3ゲームでは、これまでのWeb2ゲームのようなユーザのゲームプレイや購買行動の分析に加えて、経済圏維持のために暗号資産やゲーム内資産の流通量や価格のコントロールが非常に重要になります。Web3ゲームをプレイしているユーザは、経済合理性に基づいてプレイしているため、Web2ゲーム以上にユーザ行動がわかりやすく分析のしがいがあります。分析をするという立場では非常にやりがいのある環境です。

経済合理性だけで判断されない「キャプテン翼」の魅力

──2023年1月には『キャプテン翼 -RIVALS-』をリリースしました。実際に運営してみて、手応えや感想はいかがでしょうか?

守安
Web3ゲームは「ゲーム+金融決済」のGameFi(ゲーミファイ)であるため、不具合が起きた時の対処方法がWeb2.0とは異なると痛感しました。

ソーシャルゲームであれば、運営側で何かミスがあってもアイテムの補填をすればそれほど支障がなかったのですが、Web3ゲームはリアルなお金や資産が直結しているため「ごめんなさい」では済みません。

Web3ゲームは業界自体が黎明期のため、アジャイル的に色々試してPDCAを回していきたい。しかし、金融(ファイナンス)の側面では一切のミスも許されない。このバランスを取ることの難しさは、実際にタイトルをリリースしてみて再認識できたことです。

山田
ソーシャルゲームとWeb3ゲームでは、ユーザーの行動に大きな違いがあります。『キャプテン翼 -RIVALS-』のゲーム自体は1日5分もあれば終わりますが、ヘビーユーザーはその5分のためにスプレッドシートと何時間も向き合うような人もいます。利益を最大化する方法を考え続けているわけですよね。

これは運営側からすると非常に緊張感があります。簡単に儲けられる穴を作ってしまうとユーザーから徹底的に突かれてしまいます。私自身、『Axie Infinity』や『STEPN』では経済合理性だけを考えてゲームプレイやマーケットでの売買を繰り返していたので、その気持ちは良くわかります。

山田
一方で『キャプテン翼 -RIVALS-』は、人気サッカーアニメのIPを使用したゲームであるため、必ずしも経済合理性だけの判断ではない点が新しいと感じています。例えば稼ぐ上では不利だったとしても、推しのキャラクターがいればそのカードを大切に所有し続けるといった具合です。

背景に漫画コマがあるカードなどは、機能的な価値が低かったとしてもマーケットプレイスでは高値で取引されていたりします。IPにはユーザーを引き付ける魅力があることを、今回のリリースで改めて実感できました。

「日本のIP × Web3」で世界への挑戦権を獲得する

──ソーシャルゲームやスマホゲーム業界で活躍してきた方々に向けて、Web3ゲームの魅力を語るとしたらどのようなメッセージがありますか?

守安
世界に挑戦できるチャンスがあることを一番に伝えたいです。日本からグローバルに向けて挑戦できる領域は、自動車業界かアニメなどのコンテンツを含んだ広義のゲーム業界の2択だと私は考えています。

加えて私たちには、IPオーナーとの強いコネクションがあります。日本発のIPは世界からもリスペクトされていますので、その観点からもチャンスは大きいはずです。世界に通用するサービスを、日本のプレイヤーさんと一緒に作っていけたら嬉しいですね。

山田
Web2.0の黎明期からソーシャルゲームに関わってきた方は、現在30~40代ではないかと思います。立場としてはマネジメント領域に携わっているケースも多いでしょう。実際に私や守安さんも、経営やディレクションをする立場でこれまでやってきました。

今回、Web3ゲームの事業を成功させるに当たり、少人数ということもあるのですが、システムの運用業務や、分析業務、プログラミングコードを書いての経済圏シミュレーション等、現場仕事もかなりやっています。1事業に集中して、何でもやるという感覚が久しぶりですごく楽しいのですよね。

現場の臨場感を体感しながら、大きな意思決定をしていく面白味もある。もう一度新しい世界で挑戦したいと思っている方にとって、Mint Townはまさに望んでいる環境だと考えています。

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